~~~はじめに~~~

         「被差別部落」…皆さんはこの言葉を聞いてどう思われますか?
私が、このブログを始めることにしたのは、職場で「○○地区は危ない」などと
“心無い会話”が聞こえてきたからでした。それも複数の方から…。政策的には、約150年前に「解放」されたはずの被差別部落ですが、職場だけではなく、インターネットやパルプマガジン(低俗雑誌)などで、今尚、多くの差別があることを実感します。被差別部落出身の妻と結婚し、部落の暮らしを知る中で「部落の良さや暖かさ」を皆さんに伝えたいと思います。

2014年6月21日土曜日

さいぼし

部落は長い伝統の中で、
独自の文化を発展させてきました。
特に、食に関しては明治の文明開化までは、
牛・豚・馬などの、いわゆる家畜は
一般家庭の食卓へ上ることはありませんでした。

これは、仏教の教えで肉を食べることが禁じられていたこと、
また、家畜は農家の大切な財産であり、
重要な働き手でありましたので、
勝手に処分して食することは許されておりませんでした。

しかし、農家の働き手の牛や馬は、病気や寿命で
死んでしまうことがあります。
死んでしまった牛や馬(斃牛馬)の処理権は
被差別部落(当時は皮田・革多・穢多)が持っており、
牛が死んだ農家は、部落(皮田村)へ連絡をして、処理を願っておりました。

斃牛馬の処理権は、幕府から付与された特別な職種でありますので、
そこらの人が勝手に処理をする事は許されませんでした。
この権利は部落ごとに持っており、
「草場・旦那場」と呼ばれました。
これは、いわゆる、縄張りです。

その為、部落には牛馬(食肉)の文化が我々より長く、
我々が知らない食肉の知識が部落の人々に受け継がれてきました。

この辺りの事は、この項ではとても書ききれないので、
いずれ、レポートを書きたいと思います。

その食肉文化の一つが、今日紹介する「さいぼし」です。
最近は、B級グルメ・ソウルフードブーム で、
「さいぼし」も随分メジャーな食品になってきたことは、
我々にとってはうれしい限りです。

現在のさいぼしは、馬肉を用いた燻製です。
馬肉のバラ肉を塩を基本にした調味液に浸し、
桜のチップで燻します。
最近のスーパーでは、あらかじめ薄く切られたさいぼしが、
パッケージングされて売られておりますが、
(これも本物のさいぼしなのですが、一般の方々が食べやすいように
薄く切られているようです)

本場部落のものはかたまり。
それを薄く切ってもよし、そのまま厚めに切ってもよし、
好みに応じてカットします。

そのままでも美味しいですが、
私は醤油に唐辛子を振って、酒と一緒に・・・

う~ん、食べたくなってきたぞ~。
でも、材料と手間に比例して、さいぼしは高級食材。
ものすごく高いのです!
そうそうやすやすと食べることはできません。

なので、私は安めのミスジ肉を買ってきて
塩ベースで味付け。
一斗缶を改造した自家製燻製器で燻しております。

これでも、十分さいぼしの雰囲気が味わえて最高です。
コスパもいいですしね~。
少々手間と時間がかかりますが・・・。

こんな美味いもんを、部落の人は食べていたのか!
私たちが肉を食べるずーっと前から・・・

さて、このさいぼしですが、
私はかねてから腑に落ちない事があります。
それは、「燻製」と言う事に凄く違和感を覚えるのです。
その事を、ずーっと調べておりますが、未だ答えは出ておりません。

10年ほど前に但馬方面のお土産物屋さんに
牛肉の「干し肉」が売ってました。
また、これまで、いろいろな方面から学んだ限りでは、
(結論は出ておりませんが)
◎戸板にバラした肉を広げて干したという記述があり、
どうやら、この辺りが本来の「さいぼし」の
原型ではなかったかと思われます。
また、あるいは、
◎竿に肉を干したことからサオボシ→サイボシ説もあります。

この記述から、私も干し肉を作ったことがあります。
塩水に味の素と醤油を少し入れて、
とびっきり最高のカルビをその中へ
漬け込み一晩。
翌日、串に刺して陰干しで2~3日。
火で軽く炙って食すると・・・

う、美味い!
焼き肉ともサイボシともまた別の素晴らしい味で、
噛めば噛むほど旨味が出てきます。
ただ、こちらも久しく作っておりませんが、
この記事を書いていて、久しぶりに食べたくなってきました。
「久しぶりに作ってみるかな~!」
 
いずれにしても、「燻製」と言う、
調理的に器具・時間・手間が掛る方法が
部落内で行われていたのか?と言う
疑問はあります。

もっと、簡単な行程ではなかったか?と
思われますが、日本の歴史を見直してみると
燻製説にも何やら勝機が・・・

囲炉裏を使用する地方では、
いろりの煙で、イワナなどの川魚や野菜を「燻製」にする事は
いにしえの頃から、ごく当たり前に行われてきた食品保存法であります。

現在主流の西洋式の燻製作りと比較すれば、
囲炉裏上に吊るすだけの、ごく簡単な保存法で、
そこには西洋式の様な手間や技術はいりません。

こうなってくると、燻製・乾燥どちらが原型だったのか、
書いていて改めて分からなくなってきました。
あるいは、同時発生的であったかもしれませんね。

ある部落内のホルモン屋に行った時のことです。
そこの部落は、大きなマンション型の改良住宅と共に、
部落産業の一つである食肉工場がたくさんあります。
部落独特の細い路地を通り、たどり着いた
その商店の軒先には大きなレンガ窯があり、
桜らしきマキが山に積んでありました。
どうやら、ここでサイボシが作られているようです。

店内に入ると、愛想の良さそうなおばちゃんがおられ、
その奥では、お兄さんが何やら作業をされている所でした。
商品棚に目をやると!!
ナント、見慣れたパッケージがあるではないか!

近所のスーパーに並んでいた袋入りの
サイボシが棚を飾っていました。
私が「これ、スーパーに置いてあるやつや!」と
言うと、おばさんは「ここで作ってるんや」と言いました。

なるほど、そう言えばパッケージ裏の製造者住所が
ここだった事を、この時点で思い出したのでした。

いずれにせよ、私達の食肉文化よりも、
はるか数百年前から、部落民は進んだ食肉文化を持っています。
それは、部落の伝統であり文化であるのです。

部落民が差別される理由の一つに、「穢れ」があります。
血まみれになりながら牛馬を解体し、
その肉を食い、皮を干して革を作る。

しかし、肉を食する事が当たり前の現代、
どうして、部落民を差別することが出来るのでしょうか?
牛馬の肉を食する事が「穢れ」であれば、
我々も「穢れ」でありますし、
牛馬を扱う仕事をするのが「穢れ」であれば、
家庭でも俎板の上で肉を切ることは「穢れ」
となるはずです。

しかし、それらは「穢れ」にはならない。
これが、差別以外の何物でもありません。
我々は、自分の都合で物事を見る癖があるようです。
それが、差別の実態なのです。

★今回は、新コーナーとして「部落の文化」をお送りしました。
 新しい構想が色々あるのですが、「生い立ち編」執筆中ですので、
あまり手を広げるのも散漫になってしまいそうで・・・
しかしながら、このような形で少しずつ織り交ぜていこうと思っております。
これからも、ブログ「被差別部落の暮らし」をよろしくお願いいたします。

あ、それと・・・
コメント頂けたらとても嬉しいです。
部落問題と言う事でコメントしにくいかも知れませんが、
お気軽にどうぞ!
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叱咤激励お待ちしておりますが、
誹謗中傷や差別的なコメントはできませんので、
よろしくお願いいたしますm(__)m


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15 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

さいぼし ってなんだろうとググって訪問! 詳しく知ることができて良かったです。 部落問題は小学校で始めて知り、社会人になり会社で勉強し、心の隅っこに根づいています。ブログ、応援します。

被差別部落の暮らし さんのコメント...

匿名さんこんばんは。
どんなきっかけであれ、このブログに
訪問頂けたことは嬉しい限りです。
どうも有難うございます!
これからも頑張りますm(_ _)m

匿名 さんのコメント...

頂きものの馬肉セットに燻製があり、とても美味しかったので取り寄せようと思い、こちらに辿り着きました。
普段の生活で部落問題を意識することは今までありませんでしたが、すこし勉強しようと思いました。
もっと手軽に買えたらいいのになぁ、なんて思っています

被差別部落の暮らし さんのコメント...

8月8日の匿名さん。
はじめまして。
「さいぼし」たしかに、手軽に買えればいいのですがねぇ。
私も、年に数回しか口にすることができません。
売っている店が少なく、値段が高い!まさに、幻の食べ物です。
サイボシもおいしいですが、
うどんに入れたり、たこ焼きの具にしたり「油かす」も中々オツです!

当ブログに辿りつかれたのも何かの縁。
これからもよろしくお願いいたします!!

WorldBeer さんのコメント...

「さいぼし」でググってたら、こちらにたどり着きました。

とても美味しそうですねぇ。


人の住んできた所や食べるもので差別って…
今時ありえないでしょ?

過去に存在した某宗教団体みたい危ない集団とかじゃあるまいし。

※URLは私が、変わったビール等をレビューしてるモノです。
気が向いたら開いてみてくださるとうれしいです。
いつか、Foodのページにさいぼしを載せたいです。

被差別部落の暮らし さんのコメント...

WorldBeerさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

WorldBeerさんの仰る通り、
今時、生まれや住んでいるところで差別されるっておかしな話です。
でも、困ったことに、そんな差別が未だにあることも
本当におかしな話です。

でも、 WorldBeerさんのように、
部落の食べ物をきっかけに「被差別部落問題」
に興味を持っていただけるのは非常に嬉しいことです!!
ありがとうございます。

WorldBeerさんのサイトも覗かせていただきました。
私も酒は好きで、一時はベルギービールにハマっていたことも・・・
もちろん今も好きですよ!

WorldBeerさん。
これからもよろしくお願いします。

WorldBeer さんのコメント...

あけましておめでとうございます。

メールいただきとても嬉しいです。
サイトも開いていただき、ありがとうございます。

いつ何時になっても(世界を見ても)差別はなくならないと思います。
負の感情は、負(IS:イスラム国や近いものなど)を生み出す元だと思ってます。

少しでも少なくすべきですね

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
(今頃の返信になってしまい、すみません)

匿名 さんのコメント...

なつかしな〜
今は事情があり関東に住んでますが、部落地域で生まれて人生の半分を過ごしました。
団地の駐車場に日曜の3時頃に売りにくる、さいぼしとあぶらかす、最高ですね
通販の薄切りのじゃなくて塊をサイコロ状に切って食べると、酒が止まらんね

被差別部落の暮らし さんのコメント...

匿名さん
ホントそうですね。
今やサイボシの薄切りは、ちょっとした肉屋・スーパーでも見かけますが、
塊となると、これはもう部落の肉屋の特権ですもんね。

匿名 さんのコメント...

沖縄の食文化は、日本全国に誇れるものです。
日本本土と違い、亜熱帯の沖縄は海産物が腐りやすいので、肉食文化が発達しています。(被差別部落もない)
豚肉は、内臓を含め余すところなく、命をおいしくいただきます。(内臓、皮、耳、豚足…。)
本土の人に、沖縄料理の話をするときは、少し自慢げになります。

本土には、そんな文化はないと思ってました。
ところが、食肉の歴史が長い、被差別部落には、肉を余すところなく食べる文化があったのですね。
こういう文化が誇りにできるといいですね。

匿名 さんのコメント...

初めまして。さいぼしについて気になる事がありググッていたらこちらに来ました!最近豚や鳥肉のさいぼしという看板やメニューを目にしました、私は部落に嫁ぎまして20年以上になりますが、さいぼし=馬肉と認識していました、それは部落の食肉事情を主人から色々と聞いていたからです、豚や鳥肉の場合はさいぼしと言うのでしょうか?燻製やジャーキーなどと言わなくてはいけないのではないでしょうか? どう思いますか?

イチ さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。
被差別部落の暮らし さんのコメント...

匿名さん

>豚や鳥肉の場合はさいぼしと言うのでしょうか?
サイボシの歴史から言いますと、元は農耕に使われた牛馬を使用しておりますので、
家畜としての豚や鳥に関しては、あまり馴染みがないのではないでしょうか?
私が知る限り、サイボシとして販売されているものは牛馬です。

そして、記事にもありますように、サイボシは元々は「干し肉」だったと考えられていますが、
どのような過程で燻製のサイボシが主流になったのか、未だ答えが出ていない
状況です。曖昧な返答でスイマセン。

被差別部落の暮らし さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
イチ さんのコメント...

これは僕が住んでいる地区が特定されてしまうので、非公開でコメントの削除をお願いします。
僕が言った「独特の文化をもった一種の自治区」というのは、平野郷のことです。
ウィキペディアに乗っていますので、開いてみてください。
東住吉区との境に屠殺業者が多いです。