~~~はじめに~~~

         「被差別部落」…皆さんはこの言葉を聞いてどう思われますか?
私が、このブログを始めることにしたのは、職場で「○○地区は危ない」などと
“心無い会話”が聞こえてきたからでした。それも複数の方から…。政策的には、約150年前に「解放」されたはずの被差別部落ですが、職場だけではなく、インターネットやパルプマガジン(低俗雑誌)などで、今尚、多くの差別があることを実感します。被差別部落出身の妻と結婚し、部落の暮らしを知る中で「部落の良さや暖かさ」を皆さんに伝えたいと思います。

2017年4月9日日曜日

部落の食文化-4 部落の天ぷら売り


「もうボチボチ来てはる頃やろ。チョット行ってきてぇなぁ」

義母が、娘である私の嫁に声をかけます。

「ほな、オレも一緒に行くわぁ」・・・


部落では、いくつになっても「天ぷらを買いに行く」のは子供の仕事。
嫁も、小さい時からずっ~と、天ぷらを買いに行ってきました。

嫁が生まれ育った部落には、決まった曜日に「天ぷら」を売りに、
軽バンを改造した移動販売車でオバちゃんがやってきます。

「オバちゃん。赤と白が5個ずつと、フクゼン10個ちょうだい」

「ハイよ!!今フクゼンが5個しかないし、チョット待ってくれるか?」

子供の頃から買いに行っている嫁は、手慣れた感じでオバさんに注文します。
オバさんは、衣をつけたフクゼンを油に入れながら・・・
「お母さん元気にしてはるか?」
「うん。元気やで」

なんて、世間話をしているうちに、熱々の天ぷらが揚がってきました。

実は、部落に売りに来る天ぷらは、エビやサツマイモではありません。

赤はレバー
白はミノ
そして、フクゼンは前回このブログで紹介した牛の肺。

部落の天ぷらは、『ホルモンの天ぷら』なのです。

「ハイ、おまっとうさん。おおきになぁ」

数が少なければ、少し待てばオバさんが揚げてくれますが、
数が多い時は、「オバちゃん、5時に取りに来るさかい、20個づつ揚げといて」
と、先に注文を出しておくと、時間通りに揚げてくれます。

それにしても、次から次へとお客さんが来て、
オバちゃんもてんてこ舞です。

部落の人は、この天ぷらが本当に好きですが、
皆さんが食べても、きっと好きになってしまうでしょう。

甘くてトロみのある付属のソースを付けて食べるのですが、
時にはオヤツに又、ご飯と一緒に食べてもいいし、
酒の肴にと、TPOを選ばない万能食品です。

勿論、エビやサツマイモの天ぷらも普通に食べますが、
部落で“天ぷら”と言うと『ホルモンの天ぷら』を指すことが多いですね。

「オバちゃん。どこから来てんの?」
ある時、私は聞いたことがあります。

だいぶ前の事だったので、不覚にも何処の地区だか忘れてしましましたが、
市内の部落から来ているということでした。

天ぷら売りのオバちゃんは、軽バンで市内の部落を回っています。
○曜日は☓☓部落
□曜日は△△部落という風に。

1個60円ですが、皆10個単位で買っていきますので、
結構な儲けになるかもしれません。

なぜなら、この部落には、
大抵の部落にもあるような肉屋・ホルモン屋がありません。

昔はあったようで店舗だけは残っているのですが、
私がこの部落に出入りするようになった頃には、
既に閉店していました。

大抵の部落にも・・・と書きましたが、
都市部の改良住宅が建っている部落では、
通りに面した棟の1階部分が店舗として供給されている場合も珍しくありません。

そのような、改良住宅内店舗に肉屋が入っていたり、
部落内で独立店舗を持っていたりと様々ですが、
とにかく、そのような店では肉やホルモンと併せて
『ホルモンの天ぷら』や『スジの焚いたん』(関西弁で焚いたものの意)など
部落の伝統的な惣菜も販売していることが多いのです。

例え、部落内に肉屋があってホルモンが手に入っても、
案外天ぷらって面倒くさくて難しい。
だからこそ週一回、天ぷら売りのオバちゃんが来るのを
皆心待ちにしているのです。

今は、そんな光景を見ることはありませんが、
昔は子供達もおやつ代わりに買って食べていたそうです。

丁度、100円玉握りしめて、駄菓子屋に行くような感覚だったのでしょうね。

★部落を皆さんに知ってもらいたい!★
このブログを、多くの方に見てほしい。そして、
部落を知ってほしい。それが、差別をなくす早道だから・・・
そんな気持ちで、ブログランキングに参加しました。
ブログランキング・にほんブログ村へ
どうぞ、クリックをお願いします。m(_ _)m

4 件のコメント:

白ギツネ さんのコメント...

また唾が湧き出るような記事を…w日本酒好きのホルモン好きな私にはもうたまらん呑みに行く!系のお話でした。こういうのがスギムラさんブログの真骨頂だと思います。先般、姪が彼氏とサイボシを食べに行き、あまりの旨さに酒が進み過ぎ、泥酔してしまったそうですwやはり知らない事は先ず胃袋からですね。一転シリアスな生い立ち編も楽しみしておりますですよ。

被差別部落の暮らし さんのコメント...

白ギツネさん
いつもありがとうございます!
姪さんが食べに行かれた店は、サイボシを出すのですか?
中々粋な店ですねぇ。
ホルモン・サイボシ。油カス・・・
段々と知れ渡ってきて嬉しい限りですね。

あんひろん さんのコメント...

はじめまして。
大変興味深く読ませていただいております。
まだまだ途中ですが、少しづつでも読み進めていきたいと思っております。

私自身関東出身の転勤族ということもあってか、部落・・・ええと 過疎化の進んだ農村のことかな? 被差別集落? 穢多・非人? 社会科で習ったような? という程度の知識しかありませんでした。「同和」といった言葉もここ数年で初めて知ったという次第です。(穢多という単語も直接変換できないんですね)

何気なくネットで見かけた「部落」という言葉に興味を持ち、調べようとしてみたところあまりの情報の少なさに驚き、怖さも感じました。
いったい誰が、何の為にこのように隠しているのだろうか。 何らかの規制をかけて、広く知られないようにして、無かったことにしようとしているのではないかという事の恐ろしさ。
「知らないから差別できない」「知ったうえで差別をしない」というのは全く違うことだと思います。 

私は現在、モンゴル国に住んでおります。
家は都市部にありますが、牧民の友人が居ります。
多くの家畜を持ち、日常的に屠殺・解体を行う文化を持ちます。今では私も内蔵の処置はおおむね出来るようになりました。 
肺 美味しいですよね^^  腸に血液を詰めて茹でたものも大好きになりました。 日本の部落でも食べる習慣はありますか?
モンゴルと、部落の肉食文化の違いや共通点についても知りたいなあ 異文化交流できたらいいなあ と思います。

肉を喰う上で、屠殺というのは避けて通れないものです。こちらに来てから他の命を奪って自分の命を存えさせるという覚悟もなく、肉を食べてしまっていた自分自身を恥ずかしく思いました。やむを得ず奪ってしまった命なのですから、それこそ血液の一滴まで無駄なく頂かなくては とは思うものの、日本で暮らしていたころは血液や臓物などはほとんど見かけませんでした。 でも、私が知らないだけでちゃんと食べている方たちもいたんですね。

今自分自身が、屠殺の現場に立ちあってみて、一般的な肉屋やスーパーに並ばない部位の多さに驚きました。 もしかして、破棄されている? 美味しいのに?私のために命を絶ってくれた、家畜に失礼じゃない? 屠殺を行う者を残酷で汚れた存在と行った口で、肉旨い! と食する矛盾。 魚の活造りやウナギを生きたまま捌くことに対して娯楽を感じる鈍感さ。 


沢山の情報を頂いて、まだ考えがまとまらずに混乱しております。
また、不快に思われるような差別的な表現をしてしまっていたらごめんなさい。
そんな部分があったら、ぜひご指摘ください。 嫌なところは直したいです。


頭の中がまだまだ散らかってはおりますが、今の気持ちを少しでもお伝えしたく取り留めもなく長々と書き散らしてしまいました。

このような貴重な情報を公開してくださり、考える機会を与えてくださったことに感謝いたします。
更新楽しみにお待ちしております。 

被差別部落の暮らし さんのコメント...

あんひろんさん
はじめまして!
大変貴重なお話ありがとうございます。
異文化交流いいですね。
モンゴルの食文化にも、大変興味あります。

日馬富士問題も落ち着いたようですし(笑)、
よろしかったら、メールアドレスを教えて頂けないでしょうか?
等ブログのトビラ写真の下に、メールフォームが有りますので、
空メールを送って頂いたら、返信致します!
よろしくお願致します。