職人歌合は、中世・鎌倉時代から室町時代にかけて描かれたもので、
職人の歌と共に、働く職人の姿が描かれた大変貴重な史料。
時代に応じて、いくつかの種類がありますが、
特に有名なのが「七十一番職人歌合」ではないかと思われます。
写真がなかったこの時代、克明に描かれた絵は、
仕事に精出す職人達の姿を生き生きと描写し、かつ
庶民の暮らしさえ連想させます。
中でも特筆すべきことは、職人歌合の中に、
多くの被差別民が描かれていることです。
武家の力を石高で表すとおり、
中世から近世にかけての我が国のスタンダードは、
田畑を耕し農作物を生産する農民達でした。
一方で、モノを作り販売する職人達も無くてはならない存在でしたが、
「農作物を生産する」という基準から外れた人々は、
時に差別の対象となりました。
もちろん全ての職人が被差別民というわけではありませんが、
ケガレ意識がすでに根付いている中世において、
穢れや呪縛などに関わる職人・仕事は賤視されていました。
イタカとエタ 傘にほっかむりは非人の装束 |
ここでは、江戸時代に模写された国立博物館蔵の
「七十一番職人歌合」デジタルアーカイブを引用し、
独自の解釈を加え、紹介していこうという趣旨です。
*独自の解釈
網野善彦先生など専門の研究者の方も、
多くの本や論文を書かれていることですが、
それらにこだわらず、新説でやってみたいとかねがね思っていました。
これから少しずつではありますが、
「(新説)職人歌合に見る中世被差別民の姿」をお届けしていく所存です。
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