見て記・行って記・被差別歩記-6
白山比咩神社を詣る~部落で信仰される白山神社の総本宮~
【自然崇拝】
日本がまだ神の代だった時代。
素戔嗚尊の暴れっぷりに怒った天照皇大神(太陽神)は、
天の岩戸に隠れてしまわれた。
途端にあたり一面漆黒の闇となり、草木は枯れ果て、
悪神がはびこり様々な災禍が起こり、
八百万の神々は大いに困った・・・
記紀に記される天岩戸伝説を見てもわかるように、
古来から人々は自然を敬い、感謝し、時に恐れ慄いた。
太陽・岩・樹木・海・山・川・諸々
神道の世界で今でも見られる自然崇拝は、
ありとあらゆる自然物が神となり仰がれた。
例えば、大きな岩や奇岩は「磐座」大木は「御神木」と呼ばれ、
神々が宿るとして尊ばれている。
同時に自然は時として牙を剥き、
人々に恐怖と落胆を与える存在でもあった。
台風や地震、大雨による水害や土砂崩れも神の仕業とされ、
それを鎮める為の崇拝・信仰でもあったし、
日照りが続けば神に舞を捧げ雨乞いをした。
私が産まれた鳥取県(里帰り出産で産まれただけだが、それでも鳥取は
感慨深いものがある)では、神に捧げた雨乞いの舞が「傘踊り」となり、
祭りへと昇華して毎年夏に行われているが、
元々の神事が祭りとして面々と続いている例は、枚挙にいとまがない。
【白山信仰】
石川県・岐阜県・福井県・富山県。
四県にまたがる霊峰『白山』も、いにしえの頃から
人々に感謝され、そして恐れられてきた自然信仰の象徴であった。
いつしかそれは、白山(しらやま・はくさん)信仰と呼ばれ、
全国に広まっていく。
【被差別部落と白山信仰】
特に関東では、被差別部落に多く祀られていることから、
白山神社=部落と思われがちだが、実際には沖縄を除く
全国2000箇所に存在し、部落外でも氏神として祀る地区は多い。
では、なぜ被差別部落に白山神社が多く存在し、
氏神として祀られているのだろうか?
一説には、浅草弾左衛門が信仰していた為、
多くの部落で信仰されるようになったと言われているが、
実際には弾左衛門期以前に、既に白山神社が存在する被差別部落もあり、
通説の一つとしての域を脱しない。
また一説に言うには、白山神社の祭神である白山比咩大神
(シラヤマヒメノオオカミ)は、菊理媛神(ククリヒメノカミ)と同一神
なのであるが、日本書紀に於ける菊理媛にまつわる伝承こそが、
「被差別部落で祀られるようになった所以」とするむきもある。
この様に、日本書紀の伝承から「菊理媛は穢れを祓う神」と信じられており、
中世以来、穢を払う役割を担った被差別部落の先人(穢多)達が祀ったのではないか…
と言う説も甚だ尤もらしいが、真相は謎だ。
夏休みとあってか、想像していたより参拝者が多い。
家族連れも多く、この地に於いて如何に白山比咩神社、
及び白山信仰が大切にされているのかが、よく分かる光景であった。
その為だろう。
神社境内の片隅に、白山比咩神社奥宮が設けられている。
ここへ参れば、山頂の奥宮参拝と同じご利益が得られるのだ。
カナカナカナカナ・・・
ひぐらしが鳴く夏の午後、厳かな気持ちとともに白山比咩神社、
並びに奥宮を参り、帰路についた。
(令和元年8月1日)
石川県・岐阜県・福井県・富山県。
四県にまたがる霊峰『白山』も、いにしえの頃から
人々に感謝され、そして恐れられてきた自然信仰の象徴であった。
いつしかそれは、白山(しらやま・はくさん)信仰と呼ばれ、
全国に広まっていく。
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白山比咩神社表参道鳥居 |
特に関東では、被差別部落に多く祀られていることから、
白山神社=部落と思われがちだが、実際には沖縄を除く
全国2000箇所に存在し、部落外でも氏神として祀る地区は多い。
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表参道 鳥の囀りを聞きながら本殿までゆっくりと歩みを進める。 |
氏神として祀られているのだろうか?
一説には、浅草弾左衛門が信仰していた為、
多くの部落で信仰されるようになったと言われているが、
実際には弾左衛門期以前に、既に白山神社が存在する被差別部落もあり、
通説の一つとしての域を脱しない。
また一説に言うには、白山神社の祭神である白山比咩大神
(シラヤマヒメノオオカミ)は、菊理媛神(ククリヒメノカミ)と同一神
なのであるが、日本書紀に於ける菊理媛にまつわる伝承こそが、
「被差別部落で祀られるようになった所以」とするむきもある。
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私も含め、菊理媛と聞いて菊姫酒造の「菊理媛」を思い浮かべる方は、
無類の酒好きに間違いないだろう。
定価で一升5万円の値が付けられたこの酒は、
現在発売されている中でも、高額日本酒の一つと言える。
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【菊理媛】
菊理媛は、幾つかある日本書紀の一書に、
たった一度だけ登場する謎多き神である。
媛と付くことから女性神で有ることは間違いないのであるが、
それ以外のことは全くわからない。
(取り敢えず、菊理媛が登場する部分を要約したのが以下である)
火の神を産んだ際に焼死したイザナミを追い、
黄泉の国へやって来たイザナギであるが、
イザナミのあまりにも変わり果てた姿を見て一目散に逃げてしまう。
数多の追手と共に追いついたイザナミは、イザナギと争いになるのだが、
ここで登場するのが菊理媛である。
イザナギとイザナミの仲裁に入った菊理媛が、
イザナギに「何か」を言うと、イザナギは同意して黄泉の国を後にするのだった。
ところが、日本書紀には菊理媛が何を言ったのか記述がなく、
何故イザナギが引いたのか、重ねがさね全くわからないのである。
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緩やかに登る山道を登りきったところで白山比咩神社本殿が現れる。 今回は一部工事中で視界が悪いのが残念であった。 |
この様に、日本書紀の伝承から「菊理媛は穢れを祓う神」と信じられており、
中世以来、穢を払う役割を担った被差別部落の先人(穢多)達が祀ったのではないか…
と言う説も甚だ尤もらしいが、真相は謎だ。
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本殿 |
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大きな注連縄が掛かっている。 二礼二拍手一礼。参拝の作法に乗っ取り拝礼する。 |
家族連れも多く、この地に於いて如何に白山比咩神社、
及び白山信仰が大切にされているのかが、よく分かる光景であった。
【奥宮】
実は、白山比咩神社には奥宮があるのだが、簡単には参拝できない。
なぜなら、奥宮は標高2702mの白山御前峰山頂に位置するからだ。
白山は奈良時代、泰澄という禅師が開山したと伝えられており、
以来、数々の修験者や民衆が修業の場として、或いは信仰の場として
白山を尊んできた。
本筋としては、白山比咩神社~奥宮と参拝することで、
はじめてご利益があるのかもしれないが、
3000m近くの山を登るのは至難の業である。
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白山神社奥宮 (お宮さんcomから引用) |
その為だろう。
神社境内の片隅に、白山比咩神社奥宮が設けられている。
ここへ参れば、山頂の奥宮参拝と同じご利益が得られるのだ。
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手軽に?奥宮を参拝できるとあって本殿同様人気だった |
カナカナカナカナ・・・
ひぐらしが鳴く夏の午後、厳かな気持ちとともに白山比咩神社、
並びに奥宮を参り、帰路についた。
(令和元年8月1日)
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