~~~はじめに~~~

         「被差別部落」…皆さんはこの言葉を聞いてどう思われますか?
私が、このブログを始めることにしたのは、職場で「○○地区は危ない」などと
“心無い会話”が聞こえてきたからでした。それも複数の方から…。政策的には、約150年前に「解放」されたはずの被差別部落ですが、職場だけではなく、インターネットやパルプマガジン(低俗雑誌)などで、今尚、多くの差別があることを実感します。被差別部落出身の妻と結婚し、部落の暮らしを知る中で「部落の良さや暖かさ」を皆さんに伝えたいと思います。

2015年10月2日金曜日

続・被差別部落と暴力団:山口分裂報道をきっかけに再考する②

前回の振り返りとして、やくざ(暴力団)とは、
暴力や非合法活動を伴う「営利集団」であると言うことは
先に述べたとおりです。

ただ、暴力団を取り締まる法律が厳しくなるにしたがって、
裏のシノギから、表のシノギへと進出するヤクザも増えていきます。

フロント企業とか企業舎弟と呼ばれるのがそれで、
建設業や金融業、果ては飲食店経営まで、
それこそ、いろいろな業種にヤクザは進出してきています。
ただ、法律でがんじがらめになっている現在、
表立ってはヤクザは出てきません。
あくまでも、表向きは普通の企業であるのですが、
実は、ヤクザとつながっており、
それらの経済活動で生まれた金が、
暴力団の資金へと変わっていきます。

引退した、元山口組若頭補佐(引退時の六代目の下では舎弟)
後藤忠政氏の著書「憚りながら」の中に、
「組長である後藤氏も把握しきれないほどの、フロント企業や
企業舎弟が組内には存在した」旨が書かれています。
自らの組織内の企業でさえ把握できないのですから、
一般から見れば、全く普通の企業と見分けがつかないわけです。

また、株やFXと言った利殖に力を入れる組織もあり、
それらのヤクザは、一般に経済ヤクザと呼ばれています。

戦後、日本経済の成長と共に育ってきた
新しいヤクザの形なのですが、
「切った張った」の時代ではなくなった現代においては、
この経済ヤクザこそ、組織内でも大きな力を有します。

多くの組織では、収める義理(上納金)の額で、
組織内序列に大きな影響があるのです。

さて、このヤクザがヤクザである大きな要因の一つに、
「盃」があります。

盃は、ヤクザ社会にとって、
最も大きなファクターであるといえます。

盃には、
・親子盃(親子関係になる)
・襲名盃(代替わりなど跡目相続)
・兄弟盃(兄弟関係になる)
・和合盃(けんか・抗争の手打ち)
などの種類があり、どれも大切な儀式なのですが、
中でも特に重視されるのが、親子盃です。

親分から盃をもらい、親子関係にかったからには、
親分には絶対服従、つまり「親が白言うたら、黒いもんでも白や!」
と言うのはこのことです。
一旦親子盃を交わしたら、
親からは、絶縁・破門等で組織を追い出されても、
自ら盃を返すことはできません。
この盃があるからこそ、ヤクザはヤクザであることができるのです。

盃ごとは、神事をもとに独特の作法で行われます。
大きな盃事になれば、全国からも名だたる親分衆が駆けつけ、
後見や立会いを行い、盃事を祝います。

最近は、抗争防止やもめ事が起こっても速やかに事態が収拾できるように、
大組織同士が親戚関係を結ぶことがほとんどです。

例えば、山口組は全国三位の構成員を持つ東京の稲川会をはじめ、
日本全国の大きな組織と親戚関係を結んでします。

ヤクザ社会は、ピラミッドになっており、
親分の上に更に親分、そしてその上にも親分がいるというように、
一家の親分であっても、その上部団体では直参であったり、
若頭であったりと、立場が変わります。

よって、山口組のような大きな組織では、
末端に行くと、四次・五次と言うような
小さな組織も存在するのです。

今回の、山口組分裂騒動は、この様な中で起こりました。
簡単にいえば、山口組六代目司忍組長に対する、
四代目山健組をはじめとした、山口組直参団体の
「盃返し」なのです。

実は、神戸山口組・四代目山健組は構成員2000人
(準構成員を含めいると倍以上)といわれ、
山口組内で最も構成員の多い組織でした。
しばしば、暴力団の勢力に構成員数が挙げられるように、
暴力団にとっての“力”のバロメーターは、
金と共に構成員数が挙げられます。
同じく離脱した宅見組他の構成員を入れると、
その規模は3000人(同じく準構成員を含めると倍以上)
規模と言われています。

これは、数字だけ見ると、
全国第3位の構成員を持つ稲川会と
肩を並べる数字と言えますので、
今回の離脱が、ヤクザ社会のみならず、
抗争の危険性など、世間一般に与える影響と言うのは、
とても大きいものになります。

神戸山口組の井上邦雄組長も、
構成員2000人を持つ大親分であることには間違いありませんが、
六代目司忍組長と親子盃を交わしており、
井上組長も司組長の子分と言うことになります。

話を戻しますと、ヤクザがヤクザたる理由の一つである盃事。
理由はどうであれ、親に盃を返すという行為は、
造反・謀反であり、山口組のみならず、ヤクザ社会全体にとって、
決して許し難い行為なのであります。

これを許せば、他の組織も追随することになり、
ヤクザ社会・・・と言うかヤクザそのものの否定につながります。

だからこそ、山口組側も決してこれを許さないでしょう。
これまでの例を見ると、この様な造反劇は、
抗争と言う形で粛清されることがほとんどですから、
それだけに、一般市民に与える影響を考えると、
マスコミや警察が連日大きく報道するのも頷けます。

本来、親から絶縁・破門を言い渡された者は、
すぐさま全国の組織に廻状が回り、
処分を受けた者との縁組や交遊など、
一切の付き合いを禁じられます。

それは、ヤクザ社会からの追放を意味しますが、
刺青があり、指もない者が、ヤクザ社会以外で生きていくことが
どれだけ難しいかは、想像に難くありません。
しかし、それでもなお、ヤクザ社会に嫌気がさし、
ヤクザ社会を去る者が増えていると聞きます。

余談ですが、先にも書いたように、
本来、組織を抜けることは許されないですが、
“それでも”と言う場合は、ほとんどの場合で金で解決する。
昔のように、指を持っていっても
「そんな金にならんようなものいらん!金持ってこい!」と。
結局金がない者は、それまで通り組に残るか、
どこか遠くへ飛んで(逃げて)名や素性を隠し、
息をひそめて暮らすことになります。

先に、絶縁と破門と書きましたが、
絶縁は、組織からの永久追放のみならず、
他の組織へも移ることができません。
つまり極道社会からの永久追放ですが、
ほとんどの場合は、トラブルによる追放ですので、
生臭い話になりますが、組織に追われ、
「絶縁=本当の死」となるケースも多いようです。

次に破門ですが、これは会社でいえば停職処分のようなもの。
一定の期間を経て、改心できたようなら、
親分から破門をとかれ組織に復帰することができます。

今回の神戸山口組に対する処分は、絶縁と破門に分かれました。
絶縁は、山健組・宅見組など五団体。
残りの八団体には、破門が言い渡されました。

ここから、六代目山口組の意図が見てとてます。
山健・宅見組等は首謀団体として、決して許すことはできない。
しかし、残りの団体は、山口組へ復帰できる処分。
ここが、神戸山口組に対する揺さぶりであり、
カードとなっているようです。

③へつづく
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暴力団の歴史を振り返ってみますと、
これまでも、幾度となく一般人が犠牲になったり、
多くの方が、犯罪の巻き添え・被害者になられています。

昔の東映映画出てくるような、
「弱きを助け強気を憎む」
任侠の心はどこへ行ったのでしょうか?
一刻も早く、事態が収拾し、
更なる犠牲者が出ないことを祈ります。

さて、今回も、
「続・被差別部落と暴力団:山口分裂報道をきっかけに再考する②」
と題し、最近の情勢を交えて、暴力団の実態に迫ってきました。
次回も引き続き、この問題について取り上げます。

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