私がこのテーマで書き始めて、程なくして、
このような文言を、インターネットで目にすることが多々ありました。
「いや~、いろいろな説を考える人がいるものだなぁ」と、
第一印象としては感心(?)した次第でありますが、
これは、もっともらしい説ではあるが、あまり関係が無いでしょう。
(多少の同胞意識はあるでしょうが)
情報のソースを探ってみると、どうやら米ネットメディアの
『Daily Beast』と言うのが発信源らしいのです。
今回の、山口組の分裂に関しては、米国や英国でも報道されているようで、
この一件が世界的にも注目を集めているのは事実のようです。
ところで、「同和と在日の争い」に関しては、
第一印象としては、感心した次第であるが、
時間が経つに連れて、どうも腑に落ちない所があったのです。
よくよく考えてみると、その“腑の落ちなさ”というのが、
部落と在日に対する『偏見』であることがわかったのです。
今回は、「続・被差別部落と暴力団」というテーマで書いていていますが、
その前編、以前書いた「被差別部落と暴力団」の中にもあるように、
確かに数十年前までは、暴力団には部落民と、
在日韓国朝鮮人が多かったのは事実であるでしょう。
それは、現在よりも、より大きな差別が社会的に存在し、
安定した仕事に就くこともままならなかった部落民や在日韓国朝鮮人達が、
“食っていく上”での重要な受け皿であったことは、
それは私も認めるところであります。
だがしかし、今日、生活や仕事、就学率などをとっても
部落が、ようやく世間一般と格差が無くなってきた(差別は依然として存在するが)
ことから見ても、ヤクザが、部落民と在日中心で構成されているとは言い難いでしょう。
部落には、「暴力団事務所が多い」という声も散見するのですが、
事務所だけで言うのであれば、一般地区の方が圧倒的に多く、
中年~若手の構成員に関しては、一般地区出身者が多いだろうことは、
容易に想像がつきます。
実際、私が育った近所(部落ではない一般地区)でも、
ヤクザになった先輩が二人もいるのです。
勿論、現在は付き合いは無いですが、小・中学当時は、
仲良くしていたものです。
一人は、名前をNと言い、当時、自宅の一本裏の通りに住んでおり、
同じ町内ということで、兄のように、本当に親しい間柄だったが、
中・高校と疎遠になるに従い、「ヤクザになった」と聞いたときには、
私も母親も本当にビックリしたものです。
と、いうのも、Nは、不良集団にも属さず、「悪」と言う事からかけ離れた存在
(もしかしたら、私が知らなかっただけかもしれないが・・・)だったからであります。
ただ、無口で一匹狼。
芯の強いところはありました。
もう一人のAは、先にも述べたように、現在は付き合いは全く無いのですが、
同じ武道場に通い、尚且、部活(サッカー部)も同じだった関係で、
当時から無茶をしていたのはよく知っていたので、
ヤクザになったことも頷けます。
先の、同じ町内の先輩Nの所在は今はわからないのですが、
後者の先輩Aは、2度3度、新聞紙面を飾っていた(?)ので、
おおよその所在は想像できます。
紙面では「組長」となっていたので、それなりに出世したようです。
逆に、同和地区を校区に含む中学校に通った私ではありますが、
同級生、先輩を含め、同和地区の生徒が
ヤクザになったという話は終ぞ聞かなかった。
部落出身の妻の親族でも、私が知っている限り、
ヤクザは一人もいません。
このことから見ても、何度も言うように、高齢のヤクザを除いては、
今のヤクザが、「部落と在日の温床」と言う訳では無いでしょう。
それだけに、今回のこのソースについては、
未だに、「やくざ=部落と在日」という偏見に違和感を覚えてわけです。
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さて、話は変わりますが、次に、
ヤクザと縁の深い(時には同列に見られますが・・・)
右翼団体について書いてみましょう。
右翼とは、時に民族派とか、国粋主義などと形容されるように、
天皇を国父と仰ぎ、日本の国を愛する「尊王・愛国者」の団体及び、
個人ですが、街宣車の風貌や、大型スピーカーから流れる軍歌、
マイクから放たれる怒号など、その糾弾行動があまりにも過激なため、
きっと、多くの一般市民からは「恐怖」の対象でしかないかもしれません。
また、先にも書いたように、“ヤクザとの関係が深い”と
思いの方も多いかと推測します。
では、実際のところはどうなのでしょう?
答えは・・・その通り。
ヤクザと右翼団体はとても近い関係・・・というか、
ヤクザ直属の右翼団体も多く存在しますし、
右翼団体の構成員はヤクザと右翼、
二足のわらじをはいている者も多いです。
(誤解のないように書いておきますが、数の上から見れば、
普段はきちんと仕事を持ち、運動のあるときだけ活動する方々がほとんどです)
勿論、ヤクザ直属以外の右翼団体も存在しますが、
その場合でも、後見人や相談役等どこかでヤクザの世話になっており、
ヤクザの関わり無くして、右翼団体が存在することはありえません。
以前、ある右翼団体の重鎮(Y氏)に、インタビューする機会がありました。
Y氏は、右翼団体約10団体を束ねる連合会の理事長で、
自身もD会と言う右翼団体の会長でもあります。
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(スギムラ注:「殺しの柳川」と言われた三代目山口組きっての伝説の武闘派。
尖兵部隊として、山口組の全国制覇に大きく貢献した)
スギムラ:えっ?柳川って、あの伝説の?
Y氏:「殺しの柳川」と言うことで殺伐としたイメージがあるが、
ある時、事務所で、顔に定規を当てた同僚組員に「お前何してんの?」と。
同僚組員は、定規を取って見せて「どや?傷跡に見えるやろ!」って。
そんな賑やかな一面もあった。
スギムラ:会長!?今は堅気ですよね?
Y氏:ヤクザ稼業は若い頃の話。今は正業を持ちながら民族活動をしている。
スギムラ:ヤクザの話が出ましたが、ヤクザと右翼はつながりが深いのでは?
Y氏:確かに、ヤクザと右翼の関係は深い。
実際、この団体にも、ヤクザをしている人間が沢山いる。
しかし、たとえヤクザをしていても、隊服を着て運動をしている間は、
一切ヤクザとは別。
運動は、運動。
そこに、ヤクザや暴力を持ち込んではいけない。
当団体の会員も、そのあたりの分別はしっかり持っているし、
会則でしっかり決まっている。
スギムラ:右翼が“ヤクザの隠れ蓑”と言う見方もあると聞きますが?
Y氏:それも昔の話。
確かに、ヤクザの締め付けが厳しくなり、
右翼に形を変えてシノギの一つにしていた時代もあったが、
今は、そんな団体は皆無。
何より、企業・その他が、右翼に金を出す時代ではない。
現在は、右翼が金儲けになる事はまったく無い。
スギムラ:でも、暴力団組織直属の右翼団体も存在しますよね?
Y氏:さっきも言ったとおり、民族運動にヤクザはまったく関係ない。
愛国者は、金や利益で動くのではなく、
主義主張・信条で動く。
ヤクザ直属の団体もそうだが、
多くの右翼団体が会費制で、手弁当で活動している。
スギムラ:手弁当ですか?ガソリン代も車の維持費も?
活動費は組から出ないのですか?
Y氏:勿論。手弁当だし、設立母体はヤクザ組織であっても、
現在は、独立した運動団体になった団体も多い。
そこには、当然、カタギの会員も多数在籍している
元々、ヤクザと右翼は思想的に共通する。
神道を重んじ、日本古来の伝統を大切にする。
特に、現人神である天皇に対する礼節は欠く事ができない。
そこから、右翼団体が派生したのも自然なことだ。
スギムラ:ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結論的には、ヤクザ=右翼と世間的に見られているのは、
あながち間違いではないが、運動中はヤクザと
民族派運動とは全く別けて活動しているとのことでした。
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さて、以上は、尊王・愛国をスローガン
に掲げる右翼団体と、ヤクザとの関係でしたが、
では、被差別部落民と天皇との関係はどうなのでしょうか?
部落解放同盟が綱領・スローガンとして、
反天皇制を掲げている関係で、部落民は、
皆天皇制反対の立場に立っていると思われるかもしれません。
かつて、部落解放同盟とたもとを分かった運動団体、
地域人権運動総連合(以前の全解連)は、共産党系の団体のため、
天皇制には断固反対の立場に変わりありません。
しかし、それらの運動団体に所属しない部落の方や、
団体として天皇制反対の立場をとっている部落解放同盟の
同盟員でさえ、(立場上、彼らは声を大にして言うことはできないが)
実際の声として、天皇を敬う方は非常に多いです。
かの初期段階の全国水平社でも、当時の資料に目を通すと、
天皇を敬う文言が随所に見て取れます。
しかし、水平社内の右派・左派の対立が激化し、
結果的には、創立メンバーの右派思想者が全水から追い出される形になり、
左派が実権を握ることになります。
昭和8年の第11回大会において「天皇制打倒」が掲げられるものの、
時代は戦争に突入。
次に、反天皇制が掲げられるのは戦後ということになります。
・・・
社会党との連携の元、そのような立場に至るのですが、
そこへ至るまでに、何よりも「カニの横ばい拒否」で有名な、
松本治一郎氏の影響が大きいと思われます。
実は、松本治一郎氏は、昭和11年大政翼賛会推薦の元、
衆議院議員に当選しており、当時は、
戦争にも積極的な立場をとっておりました。
しかし、松本氏は華族・氏族などの身分階級の解消を始め、
「貴族あれば賤族あり」と、次第に反天皇制へと
思想転向が行われたようです。
松本治一郎氏を「部落解放の父」とする解放同盟は、
その流れを引く次ぐことが当然のことであり、使命でもあるのです。
そのようないきさつから、部落解放同盟としては、
天皇制を大きく掲げるわけですが、
先も書きましたように、人権連・一部の部落解放同盟員・
運動団体に属さないが、心情的に反天皇制をとっている方々を覗いては、
概ね、被差別部落民も、天皇を敬う方が多いのが現状です。
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さて、この度の山口組分裂報道を受けて、
今回のこの記事となったわけですが、
ここへ来て、幾つかの抗争へと発展しそうな事態が報道されております。
かつて、「ヤクザはかっこいい!」と憧れを持っていた私ですが、
現在のヤクザを取り巻く状況は、常に警察の監視下に置かれ、
少しでも法を犯せば即逮捕。
ゴルフ場をはじめ、公の場所への入場もままならない。
子どもたちは、肩身の狭い思いをし、
銀行口座も持てず、ローンを組むどころか、
暴力団追放の流れを受けて、家ですら借りることが困難。
おまけに、一般人との付き合いも禁止され、
シノギがままならず、暮らしていくにも苦労する。
このように、非常に厳しいのが、現状であります。
先にも書きましたが、現役の組員でさえ、
ヤクザからの離脱希望者が、かなり増えているといいます。
ヤクザは、かつては、警察と蜜月な関係があったこともあります。
京都で、一時途絶えていた江戸時代から続く博徒組織「会津小鉄」を復興させた
図越利一氏の半生を書いた山平重樹著
「残侠・会津小鉄 図越利一の半生」という本の中に、
このような下りがあります。
『終戦後、三国人(韓国朝鮮人や中国人)が京都駅前で暴動を起こし、
警察署を襲った。
その際、警察署長から図越氏の元へ応援依頼があり、
図越氏は組員とともに三国人と戦った』旨が書かれております。
このような事例は、当時は全国でもあったようで、
終戦後の弱体した警察に変わって治安維持に貢献したのが
ヤクザという事実があります。
また、右翼団体も、安保闘争などで、
度々警察から応援要請があったのです。
しかし、現在は社会的に見ても「反社会団体」ということで、
警察の厳重な取締りの対象となっていることは、
皆さんも御存知のとおりですし、多くの一般市民も
ヤクザの弱体化を願っているのは当然の流れです。
しかし、反対に、ヤクザが弱体化すると、
蛇頭や関東連合などの所謂「ギャング・半グレ」が勢力を増し、
より治安が悪くなる、又、ヤクザが地下に潜り見えない存在
=マフィア化するという見方も一部ではあります。
肯定・否定様々な意見がありますが、
今は、兎にも角にも、一般人への巻き添えで犠牲者が出ないよう、
一日も早く事態が収拾することを願って筆を置きます。
部落を皆さんに知ってもらいたい!
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